菊池寛の脚本集『藤十郎の恋』の複刻版。初版は大正9年に新潮社から刊行されています。収録作品は下記。
・藤十郎の恋
・敵討以上
・屋上の狂人
・父帰る
・奇蹟
芥川龍之介や久米正雄らとともに第三次、第四次「新思潮」に参加していた菊池寛は戯曲家を志望し、「新思潮」にていくつかの戯曲を発表していました。しかし、この時点ではまだ菊池寛の戯曲は認められるに至っていませんでした。時事新報社社会部の記者となったあとに発表した「無名作家の日記」や「恩讐の彼方に」等の短編小説で文壇的地位を確立。まずは小説家として菊池の名は知られることになります。当初志した戯曲は、その後、初世中村鴈治郎一座による「藤十郎の恋」、市川猿之助ら春秋座による「父帰る」等の上演の評判によって見直されることに。この評判を受けて刊行された本書『藤十郎の恋』もまた広く受け入れられ、初版刊行の翌年大正10年3月には早くも11版を重ねる売れ行きだったそうです。
菊池寛の戯曲は、簡潔で歯切れの良いセリフ、単純で力強い心理と行動の写実的表現、起伏に富んだ巧みなプロット、明快で健康的な倫理観をもった主題を持ち、また、その主題、問題提起に対し明確な解決を用意しているところなどが特徴。日本近代戯曲史上、写実的な戯曲の技法を確立したという点でも注目に値します。
■商品詳細
タイトル :藤十郎の恋(新潮社版)
著者 :菊池寛
編集発行 :日本近代文学館
初版発行 :大正9年4月5日印刷
大正9年4月10日発行
復刻版発行 :昭和44年4月
サイズ :約110×155mm
付属品 :輸送用保護函
状態 :経年のスレ・ヤケ・シミあり
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