第一詩集『邪宗門』、第二詩集『思ひ出』につぐ、北原白秋第三の詩集『東京景物詩及其他』の復刻版。
のちに白秋自身がこの詩集について述べるところによると、「『東京景物詩及其他』の新風は『邪宗門』に次ぎ、『思ひ出』及び歌集の『桐の花』と交響するものである。主として明治42年の2月(『邪宗門』出版当時)より、大正2年の4月(雑誌『朱欒』廃刊迄)に至る、概ね4ヵ年の制作である。私の青春の花期、"PAN"の会の盛時に当っている。異国情調と江戸情趣との交錯時代である。此の頃、わたくし自身にとって記念すべき新小唄の試作の機縁が開かれた。」と位置付けているようです。
この詩集が刊行されたのは、白秋にとって既婚女性との恋愛をきっかけに世間からの評価が失墜し、逃げるように東京を去った頃。ですが、内容としては去る前の東京での経験を描いたものでした。パンの会時代の東京景物を描きつつ、象徴詩を引き継ぐとともに歌謡への傾向も示している作品集と評されます。この復刻版は大正2年に東雲堂書店から刊行されていますが、大正5年に第三版を刊行するにあたり、詩1章12編を増補して『雪と花火』と改題されました。その際、白秋はこの『雪と花火』を定本とするということを明言しています。ですが、白秋らしい趣向が凝らされた装丁の美しい一冊であり、また白秋が東京を去り、白秋の生涯の中でも苦難の道へ進む転換点にある作品集という点においても重要な一冊です。
■商品詳細
タイトル :東京景物詩及其他(東雲堂書店版)
著者 :北原白秋
編集発行 :日本近代文学館
初版発行 :大正2年6月28日印刷
大正2年7月1日発行
復刻版発行 :昭和55年5月20日印刷
昭和55年6月1日発行
(第10刷)
サイズ :約140×200mm
付属品 :カバー、輸送用保護箱
状態 :経年のスレ・ヤケ・シミあり
カバーに折れあり
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