漱石の死によって未完に終わった最後の長編小説「明暗」。岩波書店から大正6年に単行本が刊行されました。こちらはその復刻版です。
結婚後間もない夫婦の10日余りの出来事が精密に描かれた内容。漱石文学らしく人間の生臭いところが多く描かれていますが、一方で、これまで完結させてきたどの作品よりも長い作品であったこと(未完にも関わらず)や夫婦・兄妹・愛人・友人・親族・上司部下などありふれた人間関係を網の目のように配置し対象を相対的に把握する表現方法、それらがもたらす重層的な小説構造等、50歳に達した漱石が小説というものにおいて更なる挑戦をしかけていたことが感じられる作品。だからこそ未完であることが悔やまれます。
なお、本書の装丁は津田青楓によるもの。漱石本の装丁は『道草』と本書『明暗』および没後に刊行される縮刷版等を手掛けています。津田は画家であり詩、書、短歌も作った人物。漱石の晩年に門下生としてまた友人としての付き合いがあり、漱石に絵を教えたりしていました。津田が書いた『漱石と十弟子』という随筆集には、津田に教わりながら一生懸命絵を描く漱石の姿が。ぜひそちらも読んでみてください。
■商品詳細
タイトル :明暗(岩波書店版)
(名著復刻 漱石文学館)
著者 :夏目漱石
初版発行 :大正6年1月23日印刷
大正6年1月26日発行
復刻版発行 :昭和54年7月20日印刷
昭和54年8月1日発行
(第3刷)
サイズ :約150×225mm
付属品 :函、輸送用保護函
状態 :経年のスレ・ヤケ・シミあり
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