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芥川龍之介の代表作の一つ「地獄変」をおさめた単行本『地獄変』の復刻版。
「地獄変」は筋を語るまでもない有名作品。芥川自身の芸術至上主義が表出した作品と評されています。芸術至上主義、つまるところの「芸術のための芸術 」を主張する思潮のこと。「芸術のための芸術」は19世紀初頭のフランスで用いられ始めた標語であり、19世紀ロマン派の中心的命題の一つでした。芸術は社会性、倫理その他のなにものにも拘束されず、それ自身のために存在すると考えられたのです。地獄変の絵師は、"社会性"も"倫理"も捨て、燃える娘を描いたが、最後には自殺してしまいます。この自死は捨てきれなかった親子の情ゆえなのか、到達した美への満足なのでしょうか。
初版を発行したのは造本の美しさで有名な野田書房という出版社。野田書房は江川書房(堀辰雄『聖家族』などを出版)と並んで、純粋造本を提唱し実践していた出版社です。"純粋造本"とは、昭和初期に確立された造本方法の一つで、「徹底的に素材にこだわり、過度な装飾を排除することによって、本自体がもつ美しさや読みやすさを追求した」そうです(中林雅士「純粋造本-江川書房と野田書房」より)。こちらの『地獄変』も一見するとシンプルですが、細部にまで心が配られた非常に手の込んだデザインです。少しざらついた手触りの布装、耳付きの和紙、罫線入りの文字組、和本を思わせる秩(ちつ)付。「王朝もの」の雰囲気、そして芸術至上主義の息を感ずる素晴らしい造本です。ぜひ手にとってその造本の妙を味わっていただきたいです。
■商品詳細
タイトル :地獄変
(野田書房版)
著者 :芥川龍之介
初版発行所 :野田書房
復刻版発行所:日本近代文学館
初版発行 :昭和11年4月20日印刷
昭和11年4月25日発行
復刻版発行 :昭和52年6月20日印刷
昭和52年7月1日発行
サイズ :約165×215mm
付属品 :帙(写真1枚目)
函(写真7枚目)
状態 :経年のスレ・ヤケ・シミあり
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